今日、金沢市内の狭い道を車で走っていたら、自転車に乗った中年過ぎのおじさんがとびだしてきた。
狭い道で、しかも暗くなっていたため、かなりスピードを落として走っていた。
その道は街灯も少ない。
どこから人が飛び出してくるかわからない。

車幅ぎりぎりの交差点を右折しようと、周りを確認しながらゆっくりハンドルを切った。
周囲には誰もいない。
でも念のため、そぉ~っと進む。

すると、黒っぽい服を着て無灯火で自転車に乗っている中年を過ぎたであろうおじさんが止まる気配など見せずに飛び出してきた。

間一髪衝突を免れたが、そのおじさんはこちらを思いっきりにらみつけたまま動かない。


真っ暗の中、しかも塀の陰から、黒っぽい服を着て無灯火で走ってくる自転車にばっちり気づく人などいるのだろうか。
気づかないからこそゆっくり走っていたのだ。
そのおじさんは、そんなことなど気にしたことはないだろう。


ずっとこちらをにらみつけている。
目には、「ちゃんと前見て走れ! あぶねぇだろ!!」と書いてある。


こちらもにらみつけてみた。
「あぶねぇのはてめぇだ! ライトくらい付けろ! そして飛び出すな!! そっちこそ前見て走れ! こっちに車がいることなど、ライトで気づいているだろ!!」と目で訴えかけてみた。


しかし、おじさんの様子を見る限り、このメッセージが長すぎてバッファを越えてしまったのか、認識する様子もない。
まっすぐこちらを見ている以上、接続先の認識はできているようだ。

しばらくメッセージを送り続けてみる。

アイコンタクトはUDPみたいなもので、比較的高速な通信が可能であるが、時にはパケットロスが発生する。
そんなときは何度も送ってみるしかない。

しかし受信している様子が見られない。
間にはガラスが一枚。このルータは正常に動作しているようだ。
ということは、ポートは待ち受け状態ではないのか、不正パケット扱いでファイヤウォールに阻まれたのか。

おじさんの顔を見る限り、ファイヤウォールがインストールされている気配はない。


ここでひらめいた。
ひょっとすると、全二重ではなく半二重ではないのか。
とすると、相手が送信中の場合、受信状態になることはない。


受信待ちになるまで待ってみたいところだが、ここは交差点の真ん中。
通信以前にさっさとどいてほしいものだ。


ということで、「さっさとどけ!!」というメッセージを追加して送ってみる。

やはり受信している様子は見られない。


そのうち別のタスクが動き始めたのか、おじさんはゆっくり動き始めた。
相変わらず目は送信状態。
受信してくれない。


かろうじて車が進める間隔が開いた。
ゆっくり進む。
おじさんは送信状態。

そろそろとおじさんの横を通り過ぎる。
おじさんは送信状態。


無事通過。

おじさんは送信状態のままコネクションを切った。
そしてそのまま自転車で走り出した。


デッドロック回避。

ふぅ~、疲れた…。